
yomiuri.co.jp · Feb 26, 2026 · Collected from GDELT
Published: 20260226T090000Z
花粉症のシーズンが到来した。国民の半数近くが抱える花粉症は国民病と言われ、今年の飛散量は平年を上回ると予測されている。近年は、従業員の健康管理が生産性向上につながると捉える「健康経営」の視点から、医療費の補助など花粉症対策に乗り出す企業が増えている。(行田航、松田俊輔) 今年から無料配布されているマスクを手に取る冷凍食品メーカー「クックデリ」の社員(19日、大阪市西区で)=河村道浩撮影 長年、花粉症で悩んでいた冷凍食品メーカー「クックデリ」(大阪)の男性(49)は、昨年初めて病院を受診した。 きっかけは、同社が福利厚生メニューとして昨年新設した「花粉症手当」だ。治療費の補助が受けられ、箱ティッシュも無料で配布されることから、受診のハードルが下がった。 これまでは目がかゆくても、市販の目薬をさして乗り切っていたという。昨年は病院で薬を処方してもらい、「症状が和らいで、デスクワークも集中できるようになった」と話した。 同社によると、「花粉症手当」導入のきっかけは、従業員の声だった。社内アンケートに応じた150人の半数が花粉症に悩み、このうち9割が仕事に影響すると回答したことから会社としての対応が必要だと判断した。 昨年は約20人が治療費の補助を利用。今年は補助額を最大4000円から5000円に引き上げ、マスクの無料配布も始めた。 同社ウェルビーイング推進室の担当者は「症状が悪化すると味覚に影響を及ぼし、商品開発などに支障が出る。対策を充実させていきたい」と話す。 損失1日2450億円 花粉症による集中力低下が企業活動に与える影響は深刻だ。東京商工リサーチが2024年、約4600社に行った花粉症の調査では、4社に1社が「業務に悪影響がある」とした。 パナソニックによる昨年12月のインターネット調査では、花粉で1日のうち平均約3・2時間の労働力低下を実感。これに国の調査を加味した推計の経済損失額は1日約2450億円に上った。 国も推進項目に 経済産業省が民間と連携して行った25年度の「健康経営度調査」では、空気清浄機の設置や治療の補助などの花粉症対策に取り組む企業は、回答全体の3割近い約7700社に上り、前年度比7%増となった。 背景には「健康経営」意識の広がりがある。この考え方は、同省も推進しており、16年度には健康経営を実践する企業を優良法人として認定する制度を創設。23年度に花粉症対策を評価項目に加えた。 避暑地のように、飛散量の少ない「避粉地」で仕事ができるようにサポートする企業もある。 IT会社「アイザック」(東京)は22年から、生産性の低下を防ぐため、2~4月に沖縄などの「避粉地」でリモートワークをする際の宿泊費や作業場の使用料を補助する制度を導入した。約15%の社員が利用するほどの人気で、昨年からは補助額を最大20万円から30万円に増やし、滞在先での託児費用も対象に加えた。 物流会社「北王流通」(同)は18年度から花粉症対策を福利厚生に取り込んでいる。集中力の低下や眠気の副作用が少ない飲み薬や点鼻薬、目薬をドライバーに紹介し、購入費用の一定額を補助している。 同社業務部の担当者は「深夜帯に運転するドライバーが多く、症状がひどいと日中に休息が取れない。ドライバーの健康管理が安全運転にもつながるので、継続してサポートしていきたい」と話した。 飛散量、平年上回る見込み 今年の花粉の傾向はどうなのか。 気象情報会社「ウェザーニューズ」によると、今年のスギ花粉の飛散は14日に関東地方で開始。中・四国は2月下旬~3月中旬、近畿は3月上旬~中旬に本格化するとみられる。飛散量は全国的に平年を上回る見込みで、平年比は福井1・5倍、大阪、京都、徳島1・4倍などとなっている。 2026年の花粉の飛散予測(平年比) 同社によると、スギは飛散量が多い「表年」と少ない「裏年」が交互に訪れるとされ、今年は西日本の多くの地域が裏年に当たる。ただ、昨夏の気温が高く日照時間も長かったため、花粉を飛ばす雄花がよく成長しており、「裏年傾向を相殺している」としている。 症状を抑えるには、抗アレルギー作用の飲み薬を中心に、ステロイドの点鼻薬や点眼薬を組み合わせる。近年は病院での処方薬と市販薬の成分差がなくなってきているが、新しい飲み薬や即効性のある注射薬は医療機関でしか処方されない。 関西医科大香里病院・耳鼻咽喉科の浜田聡子診療部長は「症状がひどくなった場合や、受験を控えしっかり症状を抑えたい場合などは、受診を検討してほしい」と呼びかける。