
kochinews.co.jp · Feb 16, 2026 · Collected from GDELT
Published: 20260216T000000Z
望まない妊娠を防ぐために性交後に服用する緊急避妊薬が、処方箋なしで全国の薬局やドラッグストアで買えるようになった。 女性の心身を守る選択肢が増えたことは大きな一歩と言えるが、残された課題も多い。より有効な仕組みにしていく必要がある。 緊急避妊薬は排卵を抑えることで妊娠の成立を防ぐ。性交後72時間以内に服用すれば8割以上の確率で妊娠を防ぐことができ、服用が早いほど効果は高い。世界保健機関(WHO)の必須医薬品のリストに入っており、海外では処方箋がなくても購入できる国が多い。 一方、日本では2011年に承認されたものの、入手するには診察と処方箋が必要だった。女性にとってハードルは高く、市販化が待ち望まれていた。 しかし、議論はなかなか進まなかった。16年に厚生労働省に要望が出された際は、学会や有識者の否定的な見解を受けて見送られた。23年秋に一部の薬局でようやく試験販売が始まり、厚労省の専門部会が昨年、市販薬への切り替えを認めた。 購入できるのは服用を求める女性のみで、男性や代理人は認められない。年齢制限は設けず、保護者の同意も不要とする。ただ、悪用防止のため、本人が薬剤師の面前で服用することが義務づけられる。 一刻も早い対応が求められるケースもある。必要になった時に迅速に入手できる仕組みができた点は評価できる。 だが、市販が始まっても課題は山積する。 一つは性犯罪が疑われる場合の対応だ。緊急避妊薬を求める理由の中には、性犯罪や家庭での虐待が隠れていることがある。 被害を受けているかどうかの判断は薬局にとって従来にはない対応で、現場からは見極めの難しさを不安視する声が上がる。被害が疑われるときは児童相談所や警察など適切な機関とつなぐ役割も担う。責任は重大だ。専門性の高い対応が求められるだけに定期的な研修が欠かせない。近隣の産婦人科医との連携も重要となる。 購入者のプライバシー保護の徹底も求められる。薬局は周囲から見えないスペースを確保する必要があるが、十分に守られない可能性がある。その不安が入手を妨げる壁になれば、市販化の意義が薄らぐ。ハード面の整備にも力を入れる必要がある。 購入できる店舗数が地域によって偏りがあるのも問題だ。順次増える見込みだというが、どこにいても手に入れやすい環境整備を急ぎたい。 他国と比べて後れが目立つ性教育の充実も忘れてはならない。専門家は「包括的な性教育が周知されれば、緊急避妊薬の必要性は低くなる」と訴える。 男女の体の仕組みや避妊の方法だけではなく、相手の人権を尊重することや、互いの意思を確認する性的同意の大切さを学ぶ。そんな教育の機会を増やす必要がある。